FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

柘榴パズル(彩坂 美月)



“あたしは自分の家族が好きだ。こんなこと云うとイタい娘って思われるかもだし、自分でも恥ずかしいヤツとかちょっと思うけど、いかんせん事実だから仕方ない”
優しい祖父と母、しっかりもののイケメンな兄、そして甘ったれの妹に囲まれ、愛情ゆたかな日々を送る19歳の美緒。
東京下町、昭和テイストな「山田家」をめぐる謎は、意外な展開を見せて、ひと夏の記憶をかけがえのないものに変えてゆく――。
当たり前の幸福が切ないほど愛おしくなる短編連作集。




彩坂さんは以前にも別の作品を読んだことがあります。
今作はなんといっても、まずは大好きなイラストレーター・杉田比呂美さんの表紙!
これが目を惹きました。
あらすじを見てもほのぼのとして家族の物語っぽくて。
短編集だし、読みやすいのかなと思い手にしました。

そうしたら、プロローグの後・話が本格的に始まる前に挿入されていた、新聞記事風に「一家惨殺」という不穏な言葉が。
まず最初に思い浮かぶのは、この、これから始まる家族の物語の行く先がこの記事なんじゃないかな、ということでした。

そうして読み進めていくと、本当にほのぼのとした、仲良し家族。
大学生の長男なんて、このくらいの年だとまずそうそう一家団欒に混じったりしそうにないのに。
しかしそう思いながらも読み進めていくと、各章の前にまた不穏な記事の続編が。
徐々に「一家惨殺」の真相が明らかになっていきます。

以下、この本に関して重要な部分の「ほのめかし」があります。
そのものズバリは書きませんが、未読の方はお気を付けください。

明るみに出るごとに、私の中に、「これは本当にこの家族の記事かな?」という疑問が。
ミステリ好きなので、やはりミスリードの可能性を疑わずにはいられませんでした。
そこで疑問に思った時に、同時に思い浮かんだのがとある映画。
その映画は視聴していないのでタイトルも分からないのですが、ある家族の物語で、秘密を抱えていました。
この家族も、もしかして“そう”なのかな? と。
同時に連ドラでも、似たようなテーマのものがやっていましたしね。ドラマは、“家族”ではなく“夫婦”でしたけど。
そういうタイミングだったから気づけたのかなーと思います(笑)

結果的には的中でした。
ところどころ、ちゃんと読者に違和感を与えるような書き方もされていましたしね。
私の場合は、まずこの家族に「父親」の存在が全く無かったこと。
死別しているのか、離婚しているのか。そういった記載がなかった。
おじいちゃんがしょっちゅうお母さんの名前を間違える時のやり取りから、二人は義理であることが伺えます。
二人を結ぶ存在のはずの、父親について全く触れないのは不自然だな、と。
あと、末っ子の桃子の言動があまりに幼すぎたこと。
三人も育てたはずのショーコお母さんなのに、突如現れた赤ちゃんに対して妙にぎこちなかったこと。
そして何より、主人公の美緒の、兄・友弘に対する態度。
兄に言い寄る女性を目の前にした美緒のヤキモチ度合は、ブラコンというにしては些か激しく思えて。

そういう幾つかの不自然さと、記憶の中の作品を混ぜた結果見えた真相。
ですが、それで改めて、“家族”というのは一体何を差すのかと考えることとなりました。
一緒に住む人をそう言うのか?
血のつながりをそう差すのか?
「家族なんだから」
と言うのは、一体何を思ってそう言うんでしょう。
家を出て一人暮らしをしている人を、家族じゃないとは思わないでしょう。
別の家族を作った子に、もう家族じゃないとも思わないでしょう。

短いひと夏の、家族の物語。
離散してしまい残念でしたので、あのエピローグがあって私は良かったと思います。
二度も家族を失ってしまった美緒が、力強く自分でまた家族を欲して手を伸ばしたのですから。
流石にあの直球の台詞には驚きましたけど(笑)
でも本当に、失っても失っても、それに屈することなく望んだ美緒はすごいと思うんです。
この二人を中心に、また“家族”が再び集結したらいいのに。
そうしたら今度はあの人たちも何も言えないんじゃないかなあ。

新聞記事の事件の真相、そして思いつきが正解なのかどうかが気になっての一気読みでした。
思わぬ“家族”についても、色々考えさせられました。
あ、ショーコお母さんについては最後まで分からなくて、正体を明かされてびっくりしました(笑)
なるほど、柔道部かw


スポンサーサイト
     

コメント

Secre

     
プロフィール

sui

Author:sui
いらっしゃいませ。こちらのブログは管理人のマメでない性格ゆえ、更新はゆっくりめです。
感想は多分にネタバレを含みますので、未読の作品に関してはご注意ください。
思い出した時にでもお立ち寄りくだされば嬉しいです。


コメントやトラックバックなども大変嬉しく、歓迎です。
が、こちらの判断により、削除してしまう場合もあります(例:初めましての間柄でトラックバックのみを行うなど)ので、ご了承ください。

日記、始めました。
『のんびりたまに雑記。』リンクから行けます。
今読んでいる本などちょこちょこ書いていく予定です。
また、web拍手でいただいたコメントも、こちらの方でお返事させていただきます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

FC2カウンター
カレンダー
07 | 2018/08 | 09
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
RSSリンクの表示
ユーザータグ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2拍手ランキング
検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。