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天の梯 みをつくし料理帖(高田 郁)



「あなたを、心から大切に想っています」

『食は、人の天なり』
医師・源斉の言葉に触れ、料理人として自らの行く末に決意を固めた澪。
どのような料理人をめざし、どんな料理を作り続けることを願うのか。
澪の心星は、揺らぐことなく頭上に瞬いていた。
その一方で、吉原のあさひ太夫こと幼馴染みの野江の身請けについて懊悩する日々。
四千両を捻出し、野江を身請けすることは叶うのか!?
厚い雲を抜け、仰ぎ見る蒼天の美しさとは!?
「みをつくし料理帖」シリーズ、堂々の完結。



長らく感想を書きたい・書かなきゃと思い続けていたこのシリーズ。
ようやく着手することができました(笑)

絶対、このシリーズはハッピーエンドになると思って信じていました。
だって「雲外蒼天」ですもん。
吉原の伝説の遊女・あさひ太夫を身請けすることを一の目標に掲げていた澪。
それだけでも大わらわなのに、最後にとんでもない爆弾がありました。
佐兵衛さんの隠していた過去。
それは遊女殺しだけではなかったのです。
澪やつる家のライバル的存在の大店・登龍楼。
その店主である采女宗馬が、どのようにして財を成してきたのか。
そして澪が指を怪我することとなった、御膳奉行の死罪の件。
これらがぴたりとパズルのように、ひとつになっていく事に驚きました。
更にキーマンとして、天満一兆庵を裏切り廃業に追いやった富三を再登場させます。
もう、本当に隙がない配置!
遡ったら、その御膳奉行の話があったのは4作目の『今朝の春』ですよ!
どれだけ緻密に構成をしているんでしょう。作家さんてすごい。
ですが、この一大事が公になったことで、佐兵衛さんは拘っていた過去から抜け出すことが出来、またしても料理人として再スタートを切ることができました。
そしてそこには、例のあの人の尽力があった模様。
やはり、影となっても澪の事をそっとお助けする役割を全うしてくださるのだなあ。
今回、二人は最後の邂逅を果たします。
言葉もない、再会。
だけど相変わらず、この二人は互いに思う事が伝わるようです。
男女の絆とはまた違う、同じ料理の道というフィールドにいるからでしょうか。
これはこれで、とても尊い絆だな…と思います。
一方、登龍楼の采女宗馬は行方知れず。
行方が知れない…というところに、些かの不安を感じますが、ひとまず幼い奉公人はお役御免。
ふきの弟・健坊は無事つる家にやって来る事ができたのでした。
これにはひと安心です。

され、肝心の澪の目的である身請け。
鍵は身請け金四千両です。
が。
実は私、この身請け金の作り方に想像がついていました!
ミステリでも滅多に犯人など分からないこの私が!(笑)
なので澪が同じ事を摂津屋さんに言った時、私の心臓は間違いなくドキンと大きく鳴りました。
いや~、なんだか嬉しかったなあ。
もちろんすんなりと事が上手く運んだ訳ではなく、摂津屋さんとの綿密なやり取りがあってこそ、ですけれど。
そしてこの摂津屋さんの協力も、身を挺して彼を守った又次さんの行動が、もっと言うなれば犠牲があってこそ。
何かを得る為に何かを犠牲にする。
とてもシビアな理の上に、物語が成り立っているなと感じます。
それにしても、野江ちゃんの身受け人も澪ではなく、淡路屋さんにするとは!
澪の野江を思い遣る心に打たれました…。
もうもう。本当によかった!

そして源斉先生!
ようやく行動を起こしてくれて…。
やっぱり次男とはいえ、永田の家名は捨てなくてはならないのですね。。。
しかし己の心星の為に、そして澪の為に大阪へ行く。その決意を澪に語り、自分の気持ちをようやく言葉にした先生。
やっとか~~と感慨深くなりました(笑)
今まで主に種市さんとかが思わせぶりだったけど、肝心の先生が…と、ずーっと思ってきたのですからw
澪も野江ちゃんと一緒に、生まれ育った大阪へ戻る。
それはつる家の皆や、そこで出会った人たちとの別れを意味します。
ましてや今のように交通機関も発達していない時分のこと。
そう易々とは会えなくなる、ということです。
ここでも、何かを得る為に何かを失う…という選択をしなくてはなりません。
でも、澪は決意したのですね。
大阪で、澪は「みをつくし」という料理屋を商い、そしてその評判は…巻末を見れば一目瞭然ですw
そして「つる家」もまた…。
つくづく、つる家は料理人に恵まれたお店ですねw
種市さんの人望でしょうか(笑)
ケチをつけたい訳ではないのですが、個人的に「一柳」が「天満一兆庵」に名を改めたのがちょっと…ひっかかりはします。
佐兵衛さんへの代替わりがあったから…とは思うのですが。
お店の名前は、云わば看板です。
その店で働く人も、お客にも、最も思い入れのあるもの。
それを易々と変えてしまうのは如何なものか。
ましてや、柳吾は「天満一兆庵」には何の関わりもないのですから。
やるならば二号店を出して、そこの名前を「天満一兆庵」にすべきだったのではないかな。
少なくとも、恩がある「一柳」の看板は残すべきだったのではないか。
そう思います。それがちょっと残念ではあります。

長らく続きを待ちわび楽しんできたこのシリーズともしばしお別れ。
しばし…というのは、「みをつくし瓦版」にて、特別編の予定があると明かされたからです。
長くお待ち頂くことになる、とありますが、作家さんによって「長く」の定義が違うのでいつになるかは全く予想がつきません。
既にこの本が出て一年半が経過しています。
もうすぐなのか、それともその倍以上かかるのか。
それは分かりませんが、気長に楽しみに待ちたいと思います。


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