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あきない正傳 金と銀 源流篇(髙田 郁)



「笑う門には福が来ますよってにな」

物がさっぱり売れない享保期に、摂津の津門村に学者の子として生を受けた幸。
父から「商は詐なり」と教えられて育ったはずが、享保の大飢饉や家族との別離を経て、齢九つで大阪天満にある呉服商「五鈴屋」に奉公へ出されることになる。
慣れない商家で「一生、鍋の底を磨いて過ごす」女衆でありながら、番頭・治兵衛に才を認められ、徐々に商いに心を惹かれていく。
果たして、商いは詐なのか。
あるいは、ひとが生涯を賭けて歩むべき道か――。
髙田都の新シリーズ、ついに開幕!



大ハマりした『みをつくし料理帖』シリーズの著者・髙田都先生の新シリーズ。
こちらは今年の2月に発売していました。
でも…なんだか、『みをつくし』が好き過ぎた故なのか、ちょっと手に取るのが遅れてしまい。
今月2巻が発売したのを機に、ようやく読むことにしました。
そしたら、まあ!(笑)
ページを捲る手が止まらず、結局ひと晩で読破してしまいました(笑)
これ、『みをつくし』と変わりません。

主人公は今回も少女。
その少女が、自分の才と周りの協力を得て、一人前になっていく物語の骨子は前作と同じ。
今回の主人公・幸が目指すのは商人。
髙田先生曰く
「買うての幸い、売っての幸せ」を実現させていく主人公「幸」の商道をどうか見守って下さいませ。
とのこと。
女性ながら一人前の大阪商人になれるかどうか。
それを見守っていく物語なんでしょう。

同じ著者、同じ出版社(ハルキ文庫)ということでか、「天満」「ご寮さん」と出るとなんだか無性に前作が思い起こされます(笑)
時代も同じ江戸。
とはいえ、あちらは11代将軍家斉の世(確か)。
対してこちらは享保の時代なので恐らく8代将軍吉宗の時代でしょうか。
澪が大阪に来て「みをつくし」の店を興して、そこに幸が…というのはちょっと無理でしょうか(笑)
一瞬、そんなクロスオーバーも予想してみたのですが。

さて、その幸の物語。
1巻ながらものすごく密度の濃い年月でした。
まず男家族の相次ぐ逝去。
そして、母妹と離れ大阪で下働き。
その商家「五鈴屋」の内情…などなど。
女子には文字の読み書きは不要と考える母と、読み書きくらいは出来た方が良いと考える学者の父。
そして将来有望と名高く、幸の知識欲を理解し、そっと後押しする兄…。
やがて兄、父と続けて亡くなり、幸は伝手をたどり大阪「五鈴屋」で女衆として奥向きの仕事をすることになります。
奥向きというのは、台所仕事。
表の商売に関わることは無く、出世もない、言わば下働きの身。

その「五鈴屋」のお家さんと呼ばれる女性が富久。
現店主徳兵衛の祖母ですが、「五鈴屋」の要ともいえる女性です。
その三人の孫が悩みの種。
特に長男である現店主・徳兵衛と、次男・惣次。この二人の関係がとにかく悪い。
下手に次男に商才があって、また本人も野心があるせいでしょうか。
徳兵衛の方がまた仕事に励む訳でもなく、郭狂いというとんでもない、言わば「阿保ぼん」なんですよねえ…。
彼に嫁いだ菊栄が里に戻ってしまうのも、無理からぬこと…と思ってしまいます。
羽振りのよい時ならまだしも、時代は「物がさっぱり売れない」享保期。
呉服というのは生活に彩は与えるけれど、言わば道楽。
逼迫する生活に於いては後回しになる部分です。
三男と智蔵は幸のよき理解者であり、兄弟間の緩衝剤。
しかし商いには無関心で、読書の方が好きという、なんだかお友だちになれそうなタイプ(笑)
ある意味「五鈴屋」においての癒し系でありました…。
商いに身を入れず、尚且つ草子を書きはじめたことに惣次が激怒。
彼は「五鈴屋」を去ってしまいました。
その一年後、主人・徳兵衛の妻の菊栄もまた、「五鈴屋」を去ります。
幸にとっても読者にとっても清涼剤であった二人が去った「五鈴屋」…。これは、きつい。。。

更に、幸に目をかけ商いのことを少しずつ、ルールに外れぬように教えてくれている番頭の治兵衛さん。
彼がとんでもないことを思いついたことで次巻へ…!
正直、第一印象は
幸、逃げてーーーーー!!!
です(笑)
徳兵衛と菊栄の離縁が決まった「五鈴屋」。
跡継ぎのこともあって、次の嫁を探さなければならなくなった富久さんと治兵衛さん。

(郭狂いの)徳兵衛の手綱をしっかりと握り、商いにも知恵を貸せるような、この五鈴屋の暖簾を守り、商いを広げてくれるような、そんな娘

正直、五鈴屋の内情を鑑みたら失笑ものの高望みではありますが、お富久さんからしたらこれが理想の嫁の図なんでしょうね。
普通ならそんな娘はおりません、で済みそうなものですが、五鈴屋には実は身近にいるんですよね…。
それがそう、主人公の幸です!
持参金などは期待できませんが、帰る家のない身の上。そして親が口出ししない。高い能力。
今の五鈴屋にとっては、とても魅力的でしょう。
でも、五鈴屋の内情を知る読者からしたら、先ほどの叫びになるのではないでしょうか(笑)
奉公人やお家さんとなるお富久さんはいいとしても。
最大の問題が家庭にも仕事にも待ち受けているんですもの。
家庭はもちろん、夫となる徳兵衛。
そして商いに知恵を貸そうにも、五鈴屋のエースである惣次がそう簡単に口を挟ませてくれるかどうか。
菊栄にすらあの毒づきよう。
幸を相手にしたらどれだけのものになるのか、想像するだけでも恐ろしいです。

それくらいなら、智蔵が言っていた未来の方がよほど良かった。
分家して、幸をお嫁さんにもらって、商売は幸が、自分は草子作家で…という。
草子作家がどれだけ稼げるのかは分かりませんし(恐らく人気次第でしょう)、きっと智蔵に都合がよすぎる案ではあるのでしょう。
でも幸の意思は尊重してくれそうだし、厄介な身内が絡んでくる率は低めと、今の可能性よりはよっぽどマシ。
どうかどうか、後添えにならないで欲しいなあと願うばかりです。
ちなみに今、意識して2巻目のあらすじを読まないようにしています(笑)
週末本屋に行くんだ!(笑)

幸の前から去った智蔵と菊栄ですが、再登場の可能性も期待しています。
特に菊栄は年が近い幸を気に入っていたし、
「もし、何ぞ困ったことがあったら、紅屋へ私を尋ねておいで」
との言葉を残しています。
幸がこの先商いの事で困ったことが起きた時。幸の力になってくれる口添えをしてくれるのではないか。
そんな風に思います。

ふと、このシリーズを読んで思いだしたのが朝ドラ『あさが来た』。
大阪商人、女実業家。
女性の持つやわらかさと知恵を武器に、商人の道を切り開いていった広岡浅子と、重なる部分があります。
あちらは明治の世なので、全く時代は違いますけれど。
あさとは違う幸なりの、道の切り開き。
険しい道であることは間違いないでしょうが、その道を一緒に体感できること。
とても楽しみです。


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