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下鴨アンティーク アリスと紫式部(白川 紺子)



「おんなじものを見ているのに、まるで違うとらえ方をしていたら、不安だろう。気が合わないってことだ」
「せやろか」
鹿乃は、首をかしげて、考える。
「おなじもん見とって、別々のとらえ方するんやったら――そっちのほうが、得やない? ひとつのものに、ふたつ、見方ができるんやもん」


京都、下鴨――。
高校生の鹿乃は、旧華族である野々宮家の娘だ。
両親を早くに亡くし、兄の良鷹と、准教授をしている下宿人の慧と三人で、古びた洋館に住んでいる。
アンティーク着物を愛する鹿乃は、休日はたいてい、祖母のおさがりの着物で過ごす。
そんなる日、「開けてはいけない」と言われていた蔵を開けてしまう。
すると、次々に不思議なことが起こって…!?



アマゾンさんにおすすめされて以来、気になっていた1冊です。
レーベルもオレンジ文庫で、コバルト文庫愛読者としては見逃せない。
なにより、表紙のレトロな雰囲気、あらすじと確かに私好み!
ということで、ようやく手に取ってみた次第です(笑)
結論から言うと、読んでよかった!

主人公の鹿乃は、高校生の女の子。
両親は早くに亡くなっているらしく、兄と、兄の友人である男性の3人暮らし。
おばあちゃんの話題も出てきますが、丁度一年ほど前に亡くなっています。
生活の方はというと、旧華族だからなのか祖父の手腕なのか、財産はそこそこある、という感じ。
兄の良鷹は、鹿乃とは年が離れている成人男性で、古美術商人。ただし、基本はぐうたらであまり働かないが、目利きでひと財産当てる、らしい。
同級生に比べると家事をやらなければいけないけれど、生活環境は割と整っている、という印象です。

問題は、というと、祖母の残したアンティーク着物。
その中でも特に、収拾したと思われる蔵の着物たちが難物です。
それらの着物は「曰くつき」なモノ達だったから…。
なのでちょこっとファンタジーが入っています。
なんせ着物の柄が変わったり、すすり泣きが聞こえたり、柄が消えたりするんですもん(笑)

アンティーク着物を愛する鹿乃は、祖母からそれらの管理を引き継ぐことになるのでした。
その為には、着物がどうしたら元に戻るのかを考えなければならない。
かつて、祖母がそうしたように。
問題解決のために、鹿乃は着物の元の持ち主たちを訊ね、着物を引き渡した経緯について伺います。
そこで、着物や個人にまつわる出来事を聞いていくのです――。

舞台は京都。
鹿乃は生粋の京都育ちなので、言葉遣いが京都弁。鹿乃の兄である良鷹もそう。
私には正確なのかどうかは分かりませんが(方言って同じ都道府県でも地域性があるというし)、普段なかなかお目にかかれない言葉なので目にするのは新鮮で楽しいです。
基本的に単語は同じなので、話している意味が分からないということもないですし。

そして鹿乃は、休日は着物で過ごすという設定。
この着物の描写もまた、この作品を楽しむエッセンスです。
昔は全く興味がなかったのですが、年を重ねるごとに、着物への興味や憧れが募っています。
そんな状態なので、着物には興味津々。
ただ全く無知なので、単語も知らないものが出て来ることもありますし、全体もぼんやりとしかイメージできないのですが(笑)
そういう意味では、一人で着付けも管理もしている鹿乃はすごいなあ!
着物は洋服に比べて柄なども取り入れやすく、帯や帯留めなどの小物も含め、テーマを決めた見立てもしやすい。
鹿乃もアリスなど洋風のものを着物で見立てています。
以前別の本でも思いましたけど、着物ってそういう意味で結構自由。
ただ、もし仮に私が一念発起して着付けが自分で出来るようになっても、鹿乃のように休日着物で過ごせるか、といったら…。
そんな勇気、まだないかも…なあ。

今回、3つの中編からなる1冊なのですが、その中でも鹿乃のおばあちゃんについて触れられる「星月夜」が一番好きです。
おふじさん、なかなかのツンデレ…。
自分と旦那さんの新婚模様を日記に書き残し、なおかつ鹿乃に見せるんだから、もう。
この「星月夜」は一番最後のお話で、それまで鹿乃たちの会話からしか見えなかった、おふじさんのパーソナルな部分が露わになっています。
また、消えた着物の柄が元に戻る様子も、動きがあって読んでいて楽しかったです。
藍の縮緬に、白露の着物…。美しい。。。

メインのキャラクターは、鹿乃、良鷹、慧。そして春野さん…かな。
春野さんは鹿乃が蔵の着物を通じて知り合った大学生。
なんだか言動に謎めいたものを感じます。
鹿乃に興味がありそうで、兄2人に警戒されていたり(笑)
彼は鹿乃達の関係を引っ掻き回す役割になりそうです。
主人公の鹿乃の想い人は、慧。
ここはブレずに王道ですね~。
「家族」だと思っていたのに、これから徐々に自覚していく…という展開になるのかと思いきや。
こういう所、女の子は自覚が早い!
対する慧の方が、自覚にはまだ遠い…という感じですね。
まあ10歳下の、高校生の女の子、ですからねー。
よっぽど描き方に気を配らないと、読者としてはちょっと…という感じになってしまいます。
そういう意味では、これから徐々に女性として鹿乃を意識していく、という描き方の方が読者も素直に読めるかも。

鹿乃というキャラクターに対して、おばあちゃんっ子というのが可愛らしい。。。
おふじさんは日記から垣間見えるに、なかなか気が強くていらっしゃる…。
華族のお嬢様ですからね…。
旦那さんと孫への接し方がまるっきり同じということはないでしょうけど、かと言って全然違うということもないでしょう。
なかなかクセのある方だったと思うのですが、鹿乃は慕っていたんですね。
その鹿乃が「源氏物語」で閨を台無しにされた尚侍の肩を持った。
ここ、個人的にすごーく共感します!
光源氏は結構ヒドイなーと思う言動多いと思うのですが、これもまた、そのひとつなんですよね。
まあ、私の知っている「源氏物語」は別名『あさきゆめみし』なんですが(笑)
文章ではまだ読んだことがありません。
いつか、どなたかの訳したものを…という野望はあるのですが。

そしてもう一人。
良鷹という人はなかなか面白いなあ…と思います。
鹿乃の兄で慧の友人。
なのですが、お互いに相手しか“友人”と呼べる相手がいない、とか。
極度の面倒臭がりで、いつもソファに寝転がっているような人。
だけど実は妹想いで、参観日には欠かさず出席したり。
好物のかき揚げを一人でたくさん食べようとして、これまた好物のプリンを盾に
「デザートのプリンはなしや」
と言われたら
「すんません」
と、素直に皿に返すくだり!
ここは妙に彼が可愛く見えて、思わず和みましたw
まあ、それ以外は怠惰な性質が目立つんですけどね。

慧と春野さんに関してはこれから明かされていくかなーと思います。
特に慧は家族関係が複雑そうですし。
彼には鹿乃のことも考えてもらわないと!
シリーズは現在4巻まで発売中。
順次読んでいきたいと思います。
それにしても、表紙が本当に美しい!
色とりどりの牡丹の花、奥には薔薇。
そして中央には白猫がちょこんと。
色合いも素敵。
何より登場人物のイラストが一切ないのが、このレーベルでは珍しいな、と。
読者の想像に委ねられている、ということでしょうか。
そういうところも含めて、お気に入りになりそうなシリーズです。


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