FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

書店ガール 5(碧野 圭)



そう、何がその人のこころに響くのかはわからない。ただただ娯楽のために読んだ物語の、ほんの一フレーズに、こころを解き放たれることもある。
そういう出会いがあれば、その本はその人にとっては黄金の価値を持つ。それは文学的価値などとは関係ないことだ。


取手駅構内の小さな書店の店長に抜擢された彩加。
しかし意気込んで並べた本の売れ行きは悪く、店員たちの心もつかめない。
一方、ライトノベル編集者の小幡伸光は、新人賞作家の受賞辞退、編集者による原稿改ざん騒動などトラブル続きの中、期待の新人作家との打ち合わせのために取手を訪れる。
彩加と伸光が出会った時、思わぬ事実が発覚し…。
書店を舞台としたお仕事エンタテインメント第5弾。



4を先日読んだので、その勢いのまま5巻も手に取りました。
なんといっても、彩加が取手でどうしているのか気になったし、あらすじには小幡伸光の名が。
亜紀の旦那さんで編集さんじゃないかーと。
今まで、理子&亜紀を始め、4でコンビだった彩加&愛奈も、それぞれ雇用形態は違えど書店員でした。
だからこそタイトルの『書店ガール』であったわけで。
しかし今回のメインは彩加&伸光。
片方はガールでないどころか書店員ですらない、異色のコンビ。
とはいえ、作家と直に接し、“本を作る”役目の編集者の仕事内容には興味津々。

実際に読んで心魅かれたのはやはり伸光さんの編集サイド。
というのは、正直、彩加のパートにうーんとなる場面があったから、なんですね。。。

あらすじにもありますが、彩加は文芸が好きな女性。
吉祥寺の書店でも文芸担当として手腕を発揮していたよう。
なので、店長となった取手のお店でも、自分のこだわりの棚を用意して本を並べているものの、売れ行きはさっぱり…という始末。
ある日、お客からリクエストがあった本を求めて同じチェーンの別店舗へ赴きます。
そこの店長とは顔見知り。
彼は彩加と同じ文芸好きなのですが(というか、やはり花形のようで、そういう人は多いと聞きます)、彼のお店で売れ行きが良いのはなろう系やボカロ系。
文芸の棚は申し訳程度…という様子。
その様子を店長の戸塚は
「うちでいちばん売れるのはこれ」
「うちがいちばんライトノベルもライト文芸も品揃えがいい、そう言われるようにしたい」
と、サバサバと語ります。
そう聞いて、彩加は

いちばん売れるところをいちばんいい棚にする。店としてはそれが正しい。
だけど、できれば自分の書店は文芸が売れる店であってほしい。そう思うのはわがままなことだろうか。
ライト文芸を読むお客さんでも引き込まれるような一般文芸もある。そちらに誘導できるような店づくりをしたいと思うのは、間違っているだろうか。

と思案します。
ここに、書店ユーザーの自分、そして社会人としての自分がうーんっとなる訳です(笑)
まず、自分の店は自分の好きなジャンルが売れて欲しい。
それを思うのは勝手ですが、それで棚を作ってしまうとちょっと職権乱用かな、と思うし、ユーザーとしても店の好みを押し付けられている感じがちょっと嫌かな・
特に本は個人の嗜好が大きく反映される分、押し付けを感じると反発してしまうところがあるので。
自分の嗜好や思想を誘導された、と考えるのもなんだか気分のいい話じゃありません。
単純に「おススメ」の文字を見て「じゃあ読んでみよう」というのとは違う何かをここで感じてしまったようです。
多分本当は、単純にそうやって文芸を盛り立てていきたい、ってことなんでしょうけど。

だからこそ、その後すぐに彩加が常連のお客さんに
「この店は若い女性向きなんですか?」
と訊ねられ、弱点を柔らかく、かつ的確に言われたことによし! と思いました。
もちろん駅中書店なのでそうじゃないし、メインはサラリーマンとこの駅が最寄の高校生です。
当然、若い女性向きというのは、彩加がそれに当てはまり、尚且つ自分の好みの本を中心に据えていた、ということでしょうね。
彩加も自問していますが、文芸が好きといっても中途半端。
なんでもいい、という訳ではなく、情報番組で取り上げられるようなメジャーなものに関心があるし、ディープな作品は苦手。
何故ならまるっきり、私も同じだから。
私は読書を娯楽だとはっきり意識しているので、自分の好みに合わない文芸は読みません。
娯楽なので、社会派の骨太、とか凄惨な事件を扱っていて心が痛みそうな作品は避けています。
浅い、とも偏っているとも思います。
でも、私の場合はあくまで趣味だから、で済みます。
けど仕事となると、そういう訳にはいきません。
その点はやはり戸塚店長に軍配があがりますね。
自分の好みは二の次、ユーザーが好みそうな作品を多く設置し、いちばん良い棚にする。
これがプロだなあ、格好いいなあ。
本当に自分の好みの本しか置きたくない、というのなら、自分で本屋を開くしかないんですよね。
実際、そういう個人経営の書店もあるようですし。
責任は全部自分で被る、だからこその自由かなと思います。

さて、彩加の方はその一件以来棚の見直しとアルバイトの協力を得ることに尽力します。
その一方で伸光さんの方はというと。
新しいライトノベルレーベルの立ち上げ、というなんとも大変そうな第一歩。
しかし、選考会から何から、全然知らない舞台裏を知ることが出来て楽しいです。
全然別のレーベルの出版社に応募した作品がどちらも受賞しての、二作同時刊行デビュー、なんて例もあるんですねえ。
それに編集の仕事への意気込み。
同時にたくさんの作家の担当をする編集者。
だけど、全員をヒットさせて売れっ子にすることは出来ない。どんなにいい作品を書く作家だとしても。
ヒットメーカーといわれる編集者でも打率は三割。つまり七割の作家はそうではない、ということ。
10人中、作家を続けられる見込みは3人しかいない。
そしてその負の責めを負うのは作家自身。
編集者は読者の興味を惹かないようなタイトルをつけても、宣伝が上手くいかなくても、責任を負うことはない。
それどころか、他にひとつの大ヒットを生み出せば帳消し、むしろ評価される。
それだけ聞くと、あまりにも待遇が違いすぎないか、という気すらします。
だからこそ感じる負い目。
作家のチャンスを潰したくないという思い。
それを抱えながら編集者としてやっていく。
伸光さんのような編集者がたくさんいてくれればいいな、と、一読者として強く思います。
それと、この本の編集者の方は、この部分を読んでどう思ったんだろう、と純粋に気になる(笑)

この後、受賞が決定していた作家が結局辞退することになったり。
ある作家と取手の書店が繋がっていたり、ある人物たちが皆家族だったり。
でも、これらは分かりやすくて、私でも途中で気付いちゃいました。

いいものは皆で共有したい。
その思いからSNSはこれだけ広がったんだろうなあ。
ライトノベルだって文学だって、それは同じ。
それに関わる人は、1人でも多くの人に知ってもらいたい、読んでもらいたい、届いて欲しいと思っている。
うん、その気持ちはすごくよく分かります。

そういえば、今回は理子さんの出番が全くなかった!
亜紀さんは旦那さんが伸光さんなので、4と比べてもそこそこ出番はあったような気がします。
うーん、次は理子さんも登場して欲しいなあ。
それと亜紀さんの仕事も面白そう。
今は書店員ではなく、本部でチェーン全体の仕入れや販売についての仕事をしている、とあります。
全然関わりがないので、どんな仕事なのか見えてこない…。
その仕事に対してのやり甲斐とか、かえって現場を知っている分の悩みとか。
そういうのも読んでみたいなあ。
6の発売が楽しみですw


スポンサーサイト
     

コメント

Secre

     
プロフィール

sui

Author:sui
いらっしゃいませ。こちらのブログは管理人のマメでない性格ゆえ、更新はゆっくりめです。
感想は多分にネタバレを含みますので、未読の作品に関してはご注意ください。
思い出した時にでもお立ち寄りくだされば嬉しいです。


コメントやトラックバックなども大変嬉しく、歓迎です。
が、こちらの判断により、削除してしまう場合もあります(例:初めましての間柄でトラックバックのみを行うなど)ので、ご了承ください。

日記、始めました。
『のんびりたまに雑記。』リンクから行けます。
今読んでいる本などちょこちょこ書いていく予定です。
また、web拍手でいただいたコメントも、こちらの方でお返事させていただきます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

FC2カウンター
カレンダー
09 | 2018/10 | 11
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
RSSリンクの表示
ユーザータグ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2拍手ランキング
検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。